名古屋高等裁判所 昭和26年(う)209号 判決
よつて先づ職権を以て、原判決の理由の当否に付いて調査すると、原判決は原判示第二事実として、被告人が(イ)昭和二十四年四月中旬頃名古屋市東区下堅杉町一丁目三番地岩田政直方で竹田某が石原領二より指定生産資材である綿織物(金巾八〇〇ヤール)計二十反を代金十七万六千円位で譲受けに際し其の契約の締結代金品物の授受等の行為を為し、(ロ)同年五月上旬頃同所で右竹山が石原より指定生産資材である綿織物(天竺八〇〇ヤール)計二十反を代金十六万八千円位で譲受けに際し前同様の行為を為して、同人等の犯行を容易ならしめて其の幇助を為した旨の各事実を認定摘示して居るが、之を前後判読するも、同事実摘示の末段に於て、被告人が同人等の犯行を容易ならしめて其の幇助を為した旨結語されて居る其の同人等とは、果して何人を指称するものであるかを理解し難く、従て原判決の右事実摘示によつては、被告人が何人の犯行を容易ならしめて其の幇助を為したものであるかを判定し得ないので、斯の如きは其の理由を附しない違法あるものと謂うべく、又原判決が右の原判示第二の事実摘示中前記結語の部分に先立ち摘示して居る部分によれば、被告人は竹山某が石原領二から原判示第二の(イ)(ロ)記載のように、夫々指定生産資材を譲受けるに際し、其の契約の締結代金品物の授受等の行為を為した旨摘示されているので、之によると被告人に於て竹山某が原判示第二の(イ)、(ロ)の各譲受けを為すに際し、其の都度其の情を知り乍ら右竹山某の為之が譲受け契約の締結、代金品物の授受等の行為を為して、同人の右犯行を容易ならしめて幇助したものの如く解し得られないこともないが、若し然りとすれば、原判決が之を前記の如く同人等の犯行を容易ならしめて其の幇助を為した旨結語して居るのは、其の理由にくいちがいの違法あるものと謂わなければならない。之を要するに原判決には原判示第二の事実に関し、其の理由を附しない違法があるのでなければ、理由にくいちがいの違法があるものと断ずるの外ない。